永すぎた春に終止符を


「あの人と付き合うの?」
里美は、保田さんのことをあの人という。


私は、一息つくと、拓海に伝わるという前提で話そうと決めた。

「多分、そうすると思う」


「拓海のこと捨てるの?」
感情がむき出しだ。いつも冷静な里美には
珍しい態度だ。


「里美が何を言っても、私の意志は変らないよ」

里美がイラつきをかくそうともせずに言う。

「梨沙ったら、何も知らされてないの?」



「拓海のこと?」

何かあったの?拓海がどうかしたの?
動揺してるの気づかれないように言う。


「辞めるかもしれないって」


「辞めるって、何を?」


「大学に決まってるでしょ?拓海が大変な時に、何やってるのよ」


里美の心配そうな顔を見て、私の方が不安になる。
拓海より、こんなに余裕の無い里美の方が心配だ。

「里美こそ…どうしたの?そんなに必死になって」


「少しは、拓海のこと考えてるの?一緒にいたあの男はなに?あの人のこと、本気なの?もう乗り換えたって言うの?」
里美が泣きながら、
私の肩の辺りにドンドンこぶしをぶつけてくる。


「拓海とは関係ないって何度も言ってる。彼のことは、もう何しようと気にしないって」


「ひどいよね。彼の方は、ずべてを梨沙の為にあきらめようとしてるのに、あなたのしてることって何?違う男と付き合って拓海を傷つけたいの?」

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