永すぎた春に終止符を
「保田さん、えっと…」
「どうしてこんなことするのかって?」
「はい」
「君は、俺のものだって言うためかな。俺の好みの服に、俺が可愛いと思う髪型に、君のすべてを変えたい。クローゼットにあった服、みんな元彼に合わせたものだろ?君には、そんなもの着せたくない」
私は、目を丸くした。
「みんな変えたいって…」
どんなふうになっちゃうの?一応、着ているものは、彼の好みってだけじゃないし。私は、金魚みたいにいつもヒラヒラしてるんだろうか…
「ちょっと、引いた?でも、正直な気持ちだよ」保田さんは、笑いながら言う。
「それは、わかりますけど」
外見変えれば、中身も変るだろうか。
拓海はそんなこと言わなかった。
彼自身、なに着ても似合ってたし、ファッションに興味のないわけじゃないけど、好みを相手に押し付けるようなことはなかった。
『梨沙はシンプルなモノトーンばっかりだな』
『そのほうが好きなの。飽きないし』
『まあ、そうだな』
『可愛いひらひらしたの着て欲しい?』
『別に、好きなものを着ればいいさ。どうせ着てる服なんかに興味はない。ただし、脱がすのに苦労しなければな。梨沙が着たいと思うのを着ればいい』
拓海は…着てるものなんかどうでもよかったのかも知れない。
「梨沙、俺の方がそいつより、君にふさわしいものをあげられるよ。今よりもっと魅力的になって欲しいし、いろんなこと教えてあげたい」
相応しい。これが私の望んでたこと?
そうなんだろうか。
拓海より、相応しいってそういうことなんだろうか。
「保田さん…」
「俺の方が君にあってる。だから、俺を選んで。そういう意味だよ」
君には、俺の方が相応しい。
「さあ、何か食べよう?」