永すぎた春に終止符を

「あそこへ行ってみよう」

保田さんは手すりのとこまでいって、指をさした。
家が何件か並んで立っていて、ここから近そうだった。

「多分、歩いて行けそうだから」

「はい」

私は、保田さんに手を引かれて屋上から見えた景色の場所に向かった。
上からは、すぐ下に見えたのだけれど、10分くらいはかかって歩いた。


「住宅展示場?」
まるで縁のない言葉に驚いた。
大きな看板がかかっていて、家族連れやカップルで結構人がいる。


「元彼だって、君と同い年だろ?将来のこと考えないの?」


「こいうところには、来たことないから」
拓海とは、結婚の話すらちゃんとできなかった。
住むところの話なんて一度もしていない。


「そう、たくさん並んでるけどどれがいい?」
保田さんが立ち止まって言う。


「そういわれても、どれがいいのかわからない」


「じゃあ、適当に入るか」
保田さんは、すぐ横にあった建物に入った。


モダンなつくりの建物に入った。
ぱっと見て、どこもピカピカで家具もちゃんと備わっている。

玄関先で、
いらっしゃいませと、迎えられて上品な年配の女性にスリッパを勧められた。


「どうぞ、奥様もお使いください」
そうにこやかに足元に、スリッパを置かれて恥ずかしくなった。


「奥様って…」

「俺たち、結婚は、まだですから」

「では、新居のご参考にでも。ご自由にご覧下さい」
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