永すぎた春に終止符を
「どうしたの?怒ったの?」
「当たり前です。こんなことしたいなら私じゃなく、ほかの人にしてください」
「ごめん…」
保田さんは、私が逃げ出さないように手をつかんでいる。
「ダメです。離してください」
「そんなこと言わないで。ダメだよ。帰るなんて言わないで。もう少し俺といるって約束して」
保田さんは、慌てて私をなだめようとしている。
「だったら…こんなこと二度と止めてください」
「わかった。でも、謝らない。君のこと、すぐにでも抱きたいのは本当だから」
「冗談は止めてください」
「本気さ。まだ帰せない。今までないくらいに欲しいんだ。一刻でも早く君から彼の匂いを消し去りたいよ、これだけ必死に思うのも君のこと好きだからだ」
「私、そんなつもりは…」
忘れさせるっていっても…
「元彼、忘れられない?」
「そうじゃなくて…もっと時間をかけたいんです。そんなに急がせないで下さい」
お願いだから…急ぐとその分、拓海の残像や感覚がよみがえって受け入れなくなる。
「ごめん。君の気持ち考える余裕がなくて。やっと近づけたのに、焦りまくりだ、俺」
悪いのは、保田さんじゃない。
受け入れられない私のほうだ。