永すぎた春に終止符を
「彼のほうも苦しいと思うよ。自分の夢と君のことで、板挟みになって。

大学に残って、論文書き上げて苦労して、小さい頃からの夢をかなえようとがんばっても、
ポストを得ないと、安定した収入を得られないって聞くけど、やっぱりそうなの?」

私は、頷いた。


「優秀なら、さっさと就職しちゃえば、今ごろ企業の主任クラスで、がんばってるはずだったのに、
博士課程に進んだために、生活を不安定にさせて、大切な彼女を逃したってやつ知ってるよ」


「だから…私は、それでもいいって言ってるのに」

「へえ…」

「そんなこと無い。拓海がそんないい加減なやつじゃないもの」


「それはどうかな。いい加減じゃなくても。安定するのが、いつって分かればいいけど、大概はそうじゃないだろう?」

「はい」
< 94 / 121 >

この作品をシェア

pagetop