小説家らしき存在
「すいませんねぇーなんかお役に立てないみたいで!」
「で、どうですか?話は進みましたか?」
改めて先生に聞いてみる。
「昔々、あるところに桜の木がありました。ちっとも花を咲かさないその木に、正直爺さんが灰をまくと、灰に含まれる活性炭成分のはたらきによって土中の酸素含油量があがり根の浸透圧及び毛細管現象によって吸収された養分窒素リン酸カリウムが効率よく行き渡り開花に十分な日光も相まって満開になりましたとさ。正直爺さんは言いました。『あぁ、この場合私が嘘つきだろうと正直だろうとあんまり関係無かったなぁ...』めでたしめでたし。」
「また御冗談を」
僕は言うと、とっさに抑えきれない睡魔が襲い掛かり、あくびが出る。
「あっすいません」
僕はとっさに謝る。
「良かったらお茶、もう一杯持ってきましょうか。」
目の前には空っぽの湯飲み
「あぁいやいや、もう結構です。ちょっと外の風に当たってきますから。」
「それは困りますねぇ。」
「え?」
執筆中に編集者がそこら辺を勝手に動き回るのは気に入らないのだろう。確かにあまりよろしい事ではない。
「そうなんですか?でもどーしても眠くて。」
「よろしい。では、目が覚めるお話をお聞かせしましょう。」
「飛行機シリーズはやめてくださいねぇ。」
それだけは避けたい。
「いやいや、それよりは面白い話ですよ。」
先生の話が始まる。
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