リーダー・ウォーク
家族の協力と理解

30分でピザが到着。お茶もついでに買って、ダンボールから
小さな折りたたみの机を取り出し組み立ててそこにピザを置く。
じっと座って休憩したらだいぶ体は良くなってきて食欲もある。

気になることといえば、

この仕事を抜けてきたサラリーマンさんが何時まで私を監視しているのか?

「食べます…か?」
「何かごちゃごちゃしてベタベタしてて美味しく無さそう」
「後でホシイって言ってもあげませんからね」

温かいうちに食べないと美味しくなくなるんだから。宅配ピザだって美味しいんだから。
そのうえ、安売りの日とかクーポンが無いとそうそう頼めないシロモノなんだから。
明らかに馬鹿にして見下している。
稟はややふてくされた顔をしながらもひとつ取って食べ始める。

チワ丸が匂いにつられて駆け寄ってきて見つめてくるけれど。

「お前はもっと美味しいもの食わしてやるから今は我慢しとけ」

松宮に抱っこされて阻止される。

「……」

人と犬に見つめられながらの昼食なんて食べづらいじゃないですか。
味がよくわからないままに食べ終えて片付けもして。
普通なら荷物をほどいて部屋の模様替えとかにせいをだすのだろうけど。
生憎考えるほど持ってきた私物が無い。

「布団は?まさか床に転がって寝るのか?弥生人だってもう少しマシだぞ」
「ずっと使ってきたのは古いからこの際買い換えようと思って捨てたんです」
「じゃあ早く買いに行けよ。そのままぐーたらしてたら夜になるぞ?」
「足が痛いから。今日はもうこのままブランケットに包まって寝るんです」
「とうとう縄文人になっちまったな」
「どうせ文明開化前ですよ。未開の人間ですよ竪穴式住居ですよ」

でももう歩くのは辛いんだもん。買い物する気力もないんだもん。
それに当初からそのつもりだったし。持ち歩く荷物も減って
綺麗な布団が手に入るのだから1日や2日くらいどうってことない。

「まさか石斧とかないよな?」
「なんならマンモスでも捕まえてきましょうか?」
「…チワ丸は食うなよ」
「そんな事したら仕事がなくなるんで」
「はは。そうか。そうだな。夕方もう一度来るから、行こう」
「大丈夫ですって。明日買いに行くから」
「明日仕事行く気なんだろ。だったらきちんと体を休めないと駄目だ。
チワ丸は置いてってやるから、ゆっくりやすんどけよ」
「……チワ丸ちゃんのトイレとか無いですけど」
「このシーツを敷いとけばそこでする」
「流石だ」

部屋の隅にチワ丸のトイレシートを敷いて松宮は戻っていく。
チワ丸は彼が去っていくのが嫌みたいで珍しくギャンギャン吠えて
足元に喰らいついて必死に行かないでとアピール。
毎朝こんな風なやり取りをしているのだろうとちょっぴり切なくなるけれど。
彼のお仕事にこれ以上穴が開いてはまずいだろうと稟が抱きかかえた。


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