リーダー・ウォーク

女性にだらしないのは知ってたけど、自分だけは違うと思ってた。
そう彼が言ってたし、怒ることはあっても基本は優しくしてくれたから。
だけどそんな大差ないのかもしれない。どんな女性にも優しく接してるんだろうし。

私も大勢の中の一人だっていうなら、だったら要らないですよね。


「アイツラはまとめて今うちの会社が携わってる新作のモデルなんだ」
「……」
「俺は企画部長だからさ。色々と手まわしたり相手したりしてたんだ。
そりゃ、あんたと出会う前はちょっとくらいは遊んだりしたけど。
今は仕事上の付き合いだけだ」
「……」
「あんたと付き合いたいと思ってからは女に一切触れてない。だから、ほら。
わかるだろ?週末の旅行は絶対に行くからな。その為に糞真面目に残業まで
して仕事してんだ。いいか、あんたを引っ張ってでも行くからな。絶対にだ」
「3人で行けばいいじゃないですか」
「俺とあんたとチワ丸の3人だ」

彼女たちはあくまでお仕事上の関係。

一瞬、それで納得しかけたけど。

これ納得したらイコール旅行先でえっちOKですってことになりませんか?

「……私の意見は?」
「わかってるってちゃんとゴムするから」
「そ、そういう問題じゃなくって。ほら。チワ丸ちゃんの教育に良くないし」
「犬用の本格的なエステがあるそうだ。チワ丸はそれに出す」
「人間用は無いんですか?どうせなら私もエステとか」
「俺が丹念に塗ってやるから」
「……崇央さん、…なにするつもり?」

横を見ると真面目な顔で運転している。それはもう素敵な横顔だ。
だけど言っていることがさっきから酷い気がする。

「俺がどんだけためてるか分かったろ。カッコ悪いから隠しておくつもりだったけど。
あんたに誤解されたままじゃ不愉快だからな。こんな…こんな我慢してんのにっ」
「ごめんなさいごめんなさいっそんな怖い顔しないで」
「そう思うなら今ここで俺を静めてくれてもいいけど」
「お腹空いて死にそうなんでそこのお好みやさん入ってください。今すぐに」
「…ちっ」

このまま暴走させたら車内で酷いことさせられる。
稟は身の危険を感じとっさに目に入ったお店に逃げ込んだ。
どうやら他の女に手を出すということは本当に無いみたい。

そこは、安心したけど。

また別の不安要素が出てきた。
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