継恋
「あぁ…キンヤかぁ。」
「キンヤかぁじゃないよ!今まで連絡しないで何してたの?俺も真央もどれだけ心配したと思ってんの?」
僕は、また出せる限りの声を出して継人に呼び掛けた。
けど継人は、僕の必死の呼び掛けに答えようともしない。
ただ黙ってその凍りつく様な冷たい目で見つめる。
「何か言ってよ!ねぇっ!訳解んないよ!」
必死で継人に呼び掛けた。
そうしないと今にもあの冷たい目に飲み込まれそうな気がした。
「相変わらずキンヤはおしゃべりだな…」
そう言って継人はまた階段を登り始めた。
一瞬笑った様に見えた。
「明日、卒業式絶対顔出せよ!待ってるから!」
そう叫ぶのが精一杯だった。
継人の姿が消えると同時に僕は、その場に座り込んだ。
暫くして救急車の音が聞こえた。
昔から救急車と警察のサイレンが苦手だったから身体が自然と反応してその場を逃げる様に去った。
残して来た見ず知らずの血だらけの男性に
「ご愁傷様です。」
と心の中で御悔やみ申しあげた。
そして、明日継人が卒業式に来てくれる事を願いながら愛しの真奈美ちゃんとのデートの待ち合わせ場所に向かった。
その日の真奈美ちゃんとの大人のスポーツは、継人を見つけた安心感からかそれとも血をみて野生の本能が蘇ったのか三倍(当社比)白熱した。
< 133 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop