継恋
昨晩、卒業式以来、本当に偶然キンヤと出逢った。
高校を卒業してすぐS市を離れK市で生活していた。
定職にもつかずただ毎日、酒と女と暴力だけの生活だった。
どうやらそんな俺は目立つようでK市に住み始めて直ぐに街のならず者達の目に止まり、そんな俺を利用しようと近付いて来たが逆に利用して、ならず者達を使って他言出来ない悪さを働きながら退屈な人生を過ごしていた。
俺は、K市の夜の街が好きだった。
この夜の街は、金、女、酒、暴力に溢れていてそれに群がる人間達で賑わい、その賑わいは空っぽの俺の心に生暖かい風を吹き込む。
そしてそれらは、まだ微かに自分が生きていることを教えてくれていた。
そしてそんな夜の街の喧騒に溶け込む様に散歩していた俺は偶然キンヤと再開した。

「継人っ!」
昔と変わらず陽気な様子で俺を呼ぶキンヤがいた。
キンヤは、俺を見つけるなり走りより俺の手を掴んだ。
「K市にいたんだ!ずっと心配してたんだよ!とりあえずついて来て。」
昔と変わらず強引に俺の手を引っ張るキンヤに抵抗することなく、止めどなく話すキンヤの話しを黙って聞いていた。
キンヤは、卒業して不動産を営む親父さんの後を継ぐ為に今このK市にある支店に武者修行に出されてる事。
そしてすっかり忘れていたが今日はキンヤの誕生日だって事。
そして今夜は、クラブを貸し切ってキンヤの誕生日パーティーを開いていて真央も含め高校時代の友人達が集まっている事。
そして、最後に泣きそうな顔で俺の事を心配してずっと探していた事を話していた。
俺は、キンヤのあまりの勢いに呑まれたのかただ黙ってキンヤの話しを聞いてあいつに引っ張られるまま誕生パーティ会場のクラブにいた。
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