継恋
そして、私達は良くあの丘で二人で同じ時間を共有した。
何時間も話し続ける日もあれば、ただそっと寄り添い街の景色を眺める日もあった。
私達は、いつしか恋人へとなっていた。
彼女は、桜の花が大好き見たいで、この丘を見つけたのも父が亡くなり落ち込みうつ向いて家に帰る途中に地面に散る桜の花びらを偶然見つけ、その桜の花びらに導かれる様にこの丘に辿りついた。
「本当に桜の花びらに導かれてこの丘に辿り着いた日は、感動したわ♪」
目を輝かせて私に話してくれた。
「麗人さんとこの丘で再会した時解ったの。この桜が私に見せたかったのは、この景色じゃなくてきっと麗人さんなんだって。多分死んだ父が寂しがり屋の私を導いてくれたんだと思うわ。」
そうやって桜の木を見つめる彼女の目は優しい色をしていた。
「なら、この桜の木と華奈の父親に感謝するよ。こうやって君に出会えて幸せだよ。」
そう言って桜の木にキスをした。
「ふふっ変な人。桜の木にそんなことして。」
「そうだね。けどアメリカではこうやって感謝の気持ちを唇にのせて相手に口づけをするんだよ。」
私の行動をからかう彼女に、アメリカの風習を教えてあげた。
すると彼女は、背伸びをして私の唇に自分の唇を重ねる来た。
「出会ってくれてありがとう。」
照れながら笑う彼女の笑顔が愛惜しく、私は彼女を強く抱き締めた。
この腕の中の小さな温もりを離さない様に強く。
本当に幸せだった。

恋の始まりと終わりは突然訪れる。それを知る人間は誰もいない。
それは、知るのではなく感じるモノだと私は思う。
私は、予定よりも1ヶ月早く、父が待つアメリカに戻る事になった。
それは、体を病んだ父の代わりに自分が黒川家の当主になる事を意味していた。
S市を去る最後の夜、私はあの丘で彼女と二つの約束をした。
1つ目は、一年後また桜の咲く季節にこの場所で再会する事。
2つ目は、無事再会する事が出来たなら、私と一緒になって欲しいと。
彼女は、私の約束を目から大粒の涙をながしながらも、私の大好きな笑みを浮かべ
「はいっ。」
と答えてくれた。
こうして私は、2つの大切な約束と彼女への愛を胸にS市をさった。
ついでに父に頼まれていた視察してまとめた報告書も一緒に。
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