継恋
新入生を迎える入学式が終わった後、私は生徒会の用事で下校時間が友人達とずれ一人歩いていた。
駅へと向かうアーケードの中でまだ幼い男のコが泣いている姿を目にした。
周囲を見渡しても男のコの親らしき人物が見当たらない。
迷子かな?と思い、声をかけてみようと男のコに近づいた。
「坊主どうした?」
私より少し先に、男のコに声をかける貴方がいた。
私は、歩み寄る足を止め少し様子を見守る事にした。
男のコは、貴方の呼びかけに応えず泣き続けていた。
男のコを良く見ると左足の膝を擦りむいた傷が見えた。
私の推測だが、親を探してる最中に、転んで擦りむいたのだろう。
鞄の中から、絆創膏を見つけて男のコに手渡そうとした瞬間。
ビリッビリビリっと何かが避ける音がした。
貴方は、着ていたシャツを脱ぐと袖の辺りを力任せに破いて男のコの傷口に巻きつける。
それでも、男のコが泣き止まないので、今度は裾の辺りから背広の中心くらいまでを無理矢理破いて、一枚の大きな布にして男のコの首に巻きつけていた。
「ほらっ格好良いだろ?ヒーローは泣いてちゃなれないぞ。」
小さな男のコの頭を撫でて男のコを諭す?
男のコは、貴方の自家製のマントを手にいれ一気に上機嫌。
その一部始終が面白くてつい笑ってしまった。
因みにこの時アーケードの通行人の大半の人が足を止め、貴方を見ていた。
私は貴方達二人に近づくと、真っ先に貴方に声をかけた。
「あの~っすいません…」
貴方と男のコは、私の登場にクエスチョンマークを浮かべていた。
「そんな格好で風邪引きますよ。」
私の言葉の意味を理解したのか、貴方は慌てて男のコを抱き上げ私の前に下ろして。
「サンキュー。とりあえずこいつの事頼むわ!坊主、マント大事にしろよ。それとヒーローは泣いちゃ駄目だからな。」
男のコの頭をクチャクチャと撫でて走って何処かに消えていった。
「にぃータンあぃとぉ。」
貴方に男のコの声が届いていたのか、マントを春風に靡かせ男のコはお礼を言ってたよ。そして貴方は何処かに消えていってしまった。
裸の王様ならぬ裸の王子様ってトコかな?
きっと慣れない子供をあやすのに精一杯だつたのかな?
まぁ周りから見たらただの変態だよね。
男のコを連れて近くの交番まで手を繋ぎながら歩いてる最中も男のコは、貴方のくれたマントを自慢気に靡かせて上機嫌だったよ。
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