継恋
彼女は、私の汚れきった手を哀れむ様に両手で包んだ。
「ただ、麗人さんは、自分に優しくないんですよ。だから、どんどん傷ついて、でも優しいからまた誰かを助けたり、幸せにする為に傷ついて。昨日も言いましたけどもっと自分を大切にして下さい。」
彼女の手の圧力が少し強まった。
それと同時に、瞳に熱いモノが溜まっていた。
出会って間もない、しかも自分よりも大分年少の女性に、母性の様なモノを感じた。
私は、世の中の理には、必ず陰と陽が等しく存在すると思っている。
自分は、人よりも陰が強い人間だと思いながら生きてきた。
黒川家の黒い歴史も、事業も私のそんな考えを肯定的にするには、充分だった。
だから、誰かを幸せにするには、陽が少な過ぎて分け与える事が出来ずに、その分その人達の陰の部分を引き受ける事でバランスを保とうと生きてきた。
でも、それ程私は強い人間ではなかったみたいだ。
現実に、今彼女の言葉によって溜め込んでいたモノが関を破り流れ出ようとしている。
私は、自由になった右手を奈美の小さな頭に乗せて彼女の視線を遮る様に、前髪にゆっくりと圧力をかけた。
「有難う。その言葉だけで充分だよ。」
震えそうな声を必死で隠しながら奈美に礼を述べる。
奈美は、私の行う行為をただじっと受け入れてくれていた。
どうやら私は、相当の不器用者なのだろう。
ここで、泣き崩れる事がもしかしたら今後、今迄と違う生き方が出来たかも知れない。
ただ、それには、少し陰を抱え過ぎた。
私が自分が思っていた程、陰が深い人間じゃない事が解ったとしても、これまでの行いが消える訳ではない。
そして、私が今迄無理をしてでも背負い込んで来たモノを捨てさる事等、私自身が自分を許せない。
勘違いしないで欲しい。今迄の選択が決して間違った選択だったとしても、私には、その選択に対しての覚悟があるんだ。
例えその事によって、自分の心がどんどん陰に染まってしまい、それがどれ程の痛みを伴っていたとしても、私には、それを背負い生きていかなければならない事等解っていた。
それでも、奈美の言葉は、嬉しかった。
瞳にたまったモノが乾き始めた頃私は、彼女の頭から手を離した。
「ただ、麗人さんは、自分に優しくないんですよ。だから、どんどん傷ついて、でも優しいからまた誰かを助けたり、幸せにする為に傷ついて。昨日も言いましたけどもっと自分を大切にして下さい。」
彼女の手の圧力が少し強まった。
それと同時に、瞳に熱いモノが溜まっていた。
出会って間もない、しかも自分よりも大分年少の女性に、母性の様なモノを感じた。
私は、世の中の理には、必ず陰と陽が等しく存在すると思っている。
自分は、人よりも陰が強い人間だと思いながら生きてきた。
黒川家の黒い歴史も、事業も私のそんな考えを肯定的にするには、充分だった。
だから、誰かを幸せにするには、陽が少な過ぎて分け与える事が出来ずに、その分その人達の陰の部分を引き受ける事でバランスを保とうと生きてきた。
でも、それ程私は強い人間ではなかったみたいだ。
現実に、今彼女の言葉によって溜め込んでいたモノが関を破り流れ出ようとしている。
私は、自由になった右手を奈美の小さな頭に乗せて彼女の視線を遮る様に、前髪にゆっくりと圧力をかけた。
「有難う。その言葉だけで充分だよ。」
震えそうな声を必死で隠しながら奈美に礼を述べる。
奈美は、私の行う行為をただじっと受け入れてくれていた。
どうやら私は、相当の不器用者なのだろう。
ここで、泣き崩れる事がもしかしたら今後、今迄と違う生き方が出来たかも知れない。
ただ、それには、少し陰を抱え過ぎた。
私が自分が思っていた程、陰が深い人間じゃない事が解ったとしても、これまでの行いが消える訳ではない。
そして、私が今迄無理をしてでも背負い込んで来たモノを捨てさる事等、私自身が自分を許せない。
勘違いしないで欲しい。今迄の選択が決して間違った選択だったとしても、私には、その選択に対しての覚悟があるんだ。
例えその事によって、自分の心がどんどん陰に染まってしまい、それがどれ程の痛みを伴っていたとしても、私には、それを背負い生きていかなければならない事等解っていた。
それでも、奈美の言葉は、嬉しかった。
瞳にたまったモノが乾き始めた頃私は、彼女の頭から手を離した。