継恋
「解りました。この事は、継人君にお任せします。」
待ちに待った承諾を得た俺は顔を上げた。
顔を上げるまでかかった時間、およそ五分。この時間プライスレス。
承諾を得た俺は、少し安心したのか気が緩んでいたのか自然と笑みがこぼれた。
「継人君、大丈夫?」
「ははっすいません。余りにも長く沈黙が続いたから脚じゃなくて、心が痺れてみたいで。」
「ふふっごめんなさい。それじゃあ貴方に甘えさせて貰うわ。」
彼女も俺につられて笑顔だ。
まぁそれぐらい重要な決断を下したし、お互い緊張していたのだろう。
でも良かった。これで安心して俺は、どS行動に移れる訳だ。
彼女が今後する予定だったかもしれないけど、これ以上その細い肩に重い罪を背負わさせずにすんだ。
「けど、本当びっくりしたわ。」
「俺も最初は、びっくりしましたよ。でも今は、何処か納得してます。」
「そうね…けど継人君は、大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。」
俺は、いつもの得意な営業スマイルを作った。
どれぐらい通用するか解らないが、彼女が俺に任せてくれたのなら、これ以上心配させたくなかったから。
彼女は、俺の精一杯の営業スマイルをじっと見つめた後、何処か寂しそうな笑みを浮かべた。
「なら、お願いするわ。けど一つだけ忘れないで。罪を背負うべき人間は、私達なの。貴方が今回の件で傷つく必要はないの。だから、逃げ出したくなったら辞めて良いからね。」
「はい。解りました。」
俺の返事の後に小さなため息が彼女の口から漏れた。
「本当もう、そんなとこまで麗人さんに似てるんだから…もっと自分を大切にしなさい。」
「そうですね。さっきも言いましたが、良いところも悪いところも似ますよ。親子だから。それに、俺から見たら、貴方達の方がそっくりですよ。」
本当良く似てる。真っ直ぐなトコも、こんな俺の心配をしてくれるとこも、呆れ顏も。
大方の用事も済んだので、最後に俺は、彼女に謝罪とお願いをした。
「今回、俺の取る行動で貴方も含めて沢山の人を傷つけるかもしれません。けど、そうする事を選らんだ事を先に謝らせて貰います。
すいません。」
「良いのよ。それは、もう九年前からきっと決まってた事だから。」
「それと、もしこの件が全て片付いたらこの場所を訪れてあげて下さい。」
俺は、ズボンに居れておいた一つの茶封筒を手渡した。
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