俺様社長の恋の罠
エレベーターに乗って、一階に降りるとやっと社長のテリトリーから出れた気がしてホッと息をつく。
会社を出て、会社の近くのバーに入った私は、すぐに待ち合わせた人物を見つけて微笑んだ。
ライトブラウンの柔らかそうな髪、優しげな瞳、薄い唇。
九条社長みたいな派手な色男ではないけど、誠実そうな清潔感のある端正な顔立ちをしていると思う。
「眞木」
そう呼ぶとその人は振り返って私の顔を見て甘く微笑む。
この笑顔が好きだった。どうしようもなく、好きだった。
「お疲れ、羽山」
好きだったけれど、想いを告げることなく私は失恋した。
私の同期であり、想い人でもあった眞木龍一はもうすぐ結婚する。
しかも相手は妊娠中らしい。いわゆるでき婚というやつだ。