女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
目を伏せた桑谷さんを眺める。この5日間で少し痩せたようだった。
「成功した。やつの行動から別の軽犯罪がいくつも見つかったから、それで警察に動いて貰った。暴力行為もあったから、5年の刑期が確定した。ただ、先日、ヤツは釈放されたんだ。刑期を勤めたし、行いもいいってことで、娑婆に出てきた」
軽犯罪と言っても、5年・・・。私は唾を飲み込んだ。
・・・・5年は長いよ、人生の中で。自業自得とはいえ、失った5年間はどう影響するだろうか。
私はじっと耳を澄ます。
ため息と共に、彼が言った。
「外に出てきたやつは、まず最初に俺の以前の会社に来たらしい」
外に出れたよ、世話になった礼を言いに来たんだ、ありがとう――――――そういって、パートナーだった俺の友達に笑って言ったと聞いた。
そして、変な目つきのままぐるりと周囲を見回して言ったと。
「・・・桑谷さんは元気ですかねえ?」
パートナーは答えなかった。あいつの目を見た時、導火線に火がついたような危険を感じ取ったと言っていた。ただ、何かすればまた刑務所に逆戻りだぞとだけは伝えたと。
そしてすぐ、俺に電話をくれたんだ――――――――――
「・・・・・先日会ってくるって言ってた知人は、そのパートナーのこと?」
「そう」
「それで?」
彼は少し首を傾けた。そして、低い声で続ける。
「俺はとっくに辞めた人間だ。だけど相手にそれは通じないだろう。だから、とにかく相手の動向を探るために、会社に寝泊りして調べてたんだ」