女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~


 彼は両手を上げて、肩をすくめた。

「まさか、そんなの俺はごめんだ」

「じゃあ?」

「パートナーにヤツを見張って貰ってる。変わったことがあればすぐ知らせてくれるはずだ。ヤツの部屋の入口にカメラ、携帯は傍聴する。時間があればたまにつけてみるとも言ってたな。暫くやってみて何も起こらなければ、それはそれで仕方ないから、こっちも気にしない」

 ・・・・・・それって、犯罪じゃん。私は呆れて口が開きっぱなしになる。うわあ~・・・世の中の人って、結構知らない間に盗聴とか盗撮とかされてるのかも・・・。

 元犯罪者だったその男は余計なことをしたせいで、また見張られるハメになったわけで。でもまだ何もしてないのに、そんなプライバシーの侵害・・。

 ぞっとした。出来れば知りたくない世界を覗いてしまった。

「・・・だから、今晩から戻るつもりでいたんだ」

 その声にハッと我に返った。目を細めて、彼がにやりと笑った。

「ここに」

「・・・私は何も聞いてなかったけど・・・」

 今晩帰るつもりだなんて。それだったらメールででも知らせてくれた良かったのに・・・そしたらあんな強行突破なんて―――――――――

 口を開けたままで考えていたら、すくっと立った彼が2歩で部屋を横切って私の前に膝をついた。

 その早い動きに、ボーっとした頭はついていけなかった。


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