女神は片目を瞑る~小川まり奮闘記②~
第5章 作戦

1、懺悔と護身術


 二人でバカみたいに笑いながら、砂だらけでホテルに戻った。

 そしてシャワーを浴びて支度をし、外の海岸沿いのカフェでブランチをした。

 午後になってから下道で、運転を交代しながらのんびりと私の部屋まで帰った。

 心も洗われて、彼も明るい顔をしていた。

 だから、私は懺悔することにしたのだ。


「話さなきゃいけないことがあるの」


 部屋に着いて荷物を解き、彼がカーペットの上に座って落ち着いたと同時に切り出した。

 ゆっくりとこちらに顔をむけた彼は、あからさまに緊張していた。

「・・・・」

「・・・・」

 私も彼の前に座って向かい合う。桑谷さんの緊張が波のように襲ってきた。

「・・・えーっと、そんなにガチガチにならないで」

 私が言うと、苦しそうに彼が言った。

「頼むから、実は結婚してました、とか、離れて暮らす子供がいるんです、とか、元々男でした、とか言わないでくれ」

 ・・・・例が多いな。ってか、私は一体何なのよ!?憮然とする。私がしそうな告白って、そんなのばっかかい!!元々男でした、なんて本当笑えないっつーの。

 ムカついたから、ムカついた顔のままいきなり言ってやった。

「ストーカー野郎から電話が来て、会話をした挙句、挑発してバカにしたの」


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