キミは最高の妻だった
波留の病気は波留をどんどん蝕んでいき、波留はどんどん痩せていった。


「桜、もう少しで咲くかな?」


それでも波留は笑っていた。



「私ね、桜好きなんだ…」



波留は桜が好きで病室から見える桜の木を毎日今か今かと咲くのを楽しみにしていた。


「みんな葉桜になると儚いって言うけどその瞬間も綺麗じゃん?」



花が散っても新しく出てくる葉っぱが出てくるから綺麗。葉もなくなって木が裸になっている方が儚いのだと波留は言った。



「唯、桜が咲いたら一緒に写真撮ってくれない?」
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