卒業までに、俺を好きになってくれないか
恐ろしい程に静かになった教室





「江梨奈…
運動会がね、高校生になると
お祭りのように、豪華になるんだよ」


先生の説明に


「運動会… 出たことない」




和久井さんは、子供の頃から

全ての行事から逃げていたそうだ



「初めての運動会だな!?」



「うん!皆の邪魔にならないように
……ガンバル」






初めて素顔で、ちゃんと笑う

和久井さんを見れた



やっぱり、和久井さんが好き


高嶺の花だとしても
諦めるなんて


やっぱり無理





「先生!!」





と、手を上げたのは、井澄さん


「なんだよ…」



嫌そうに、返事をする




「集合写真とか、撮りたいです!」




「瀬奈にしたら、良い意見だ!
よし!皆、並べ~!!」



あんなにコソコソ、モゾモゾと

加藤に隠れていたのに


カメラが向くと


さすがモデル


ちゃんと笑う



「和久井さん…
この前の返事だけど
卒業までには、返事聞かせてね!」




和久井さんの隣を陣取り

てか、男子らに押しやられ

隣にいる和久井さんへ言う



「/////……ちょっとお時間下さい」



ちゃんと、何の事かわかってくれた




パシャ





井澄さんが、感涙していた



カメラマンになって、初めて



自分の妹が撮れたって…




学校のアルバムに載らない妹



Rieではなく、妹を撮るのが



夢だったと




先生が、面倒くさそうに宥める




「んじゃ、体育祭も頼むわ
クラス分撮れよ!?
お前、江梨奈だけ撮りそうだからな…」







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