カタブツ上司に愛された結果報告書
「灯里~! 灯里はいるか~!?」


伝統ある秋田の鬼のように「悪い子はいねぇか~!?」と叫びながら、オフィスをうろつくのは不審者……ではなく、私が勤める会社の代表だ。


「あーあ、見て。また代表ってば一之瀬さんのこと探しちゃってる」

「ですね……」


その様子を、ひとつ年上の先輩と呆れ顔で見つめてしまう。

ここは学校ではありません。れっきとした会社です。



都内に所存する地上四十五階建てビルの三十階のフロア全体に、私が勤めている『有限会社クラルテプロモーション』がある。

webサイト全般に関するコンサルティング業務を行なっている会社だ。


そしてさきほどの不審者……じゃなくて我が社の代表が一之瀬和臣(いちのせ かずおみ)さん。

重度のシスコンだけど、仕事はデキるイケメンだ。
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