カタブツ上司に愛された結果報告書

そんな彼の下でせっせと働く社員のひとりである私、滑川美海(なめかわ　みう)入社して二年目になる二十四歳。

制作部に所属していて、日々クライアントに依頼を受けホームページの作成などを行っている。


人並みにオシャレには気を遣っているものの、どこにでもいるような特徴のない容姿。

性格も至って普通。取り柄といえば……真面目なところくらいだろうか。


ハニーブラウン色のセミロングヘアを揺らしながら、今日もパソコンと向き合っていると、代表室から飛び出してきたと思ったら、オフィス中をなまはげの如く徘徊する代表の姿に、手を休めてしまった。


「アレがなければパーフェクトなんだけどねぇ」


私と同じように手を休め呆れ返っているのは、ひとつ上の先輩社員である安田真由子(やすだ　まゆこ)、二十五歳。

髪をかきあげるのがクセで、竹を割ったような性格。

私は密かに真由子さんが煙草を吸う姿が、たまらなくかっこよくて好きだったりする。