カタブツ上司に愛された結果報告書
みんなは田中さんのことを〝ロボット人間〟なんて言って、散々面白おかしく言っているけれど、本当の彼は違うんじゃないかなって思う。


周囲の目を気にすることも迷うこともせず、おばあさんのことを助けちゃう人だし。

それに彼の仕事ぶりを毎日見ていると、嫌でも分かっちゃうの。


誰よりも自分の仕事に責任を持って精一杯やっているって。
どんな仕事も嫌な顔見せずだし。焦らず冷静沈着。代表にだって容赦ない。


けれど、なんとなく……だけど、田中さんは代表のこと尊敬っていうか、心から慕っているんじゃないかなって思うの。


まぁ、あの代表の秘書を創設当時から務められるくらいだから。それくらいの愛がないと務まらないのかもしれないけど。


とにかく私は、あの日の田中さんとの出会いは“運命”だと信じているわけです。


あの日、田中さんと出会っていなかったら私は今、この会社で働いていなかったかもしれないし。


二年も同じ職場で働いていて、挨拶を交わした程度の関係なのに、日に日に気持ちは募っていくばかりだなんて、これはもう“運命”としか言いようがないと思うのです。


見つめるだけしかできない、運命の王子様だと――。
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