私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 相変わらず、姿形だけは美しいが、中身はすっとぼけた妹が話しかけてくる。

「暇そうね、お兄様」
と言いながら、えいっ、とハンモックを引っ張り、自分も乗ろうとする。

「無茶するな、こらっ」

 一人用だ、一人用っ、と叫ぶと、
「じゃあ、彼女連れてきても、乗れないね」
と言う。

 今、その話題に触れるなよ、と思いながら、
「此処に連れてくるか。
 いちゃいちゃ出来ないだろうが」
と強がる。

「そういえば、お兄ちゃんの彼女って見たことないんだけど」

「特定の彼女は作らないようにしてるんだ」
と言いながら、いや、誰にも本気になれなかっただけだ、と思っていた。

「お兄様、意味がわかりませんけど」

 女の敵だ、とハンモックを揺らされる。

 この妹、隣家の息子とベッタリ居たくせに、いざ、迫られると、鬼でも見るみたいに非難の目を向けていた。

 女の頭の中はわからん、と思って、なんだかあれからトラウマだ。
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