私、あなたを呪ってマス! ~こちびOLと凶悪な先輩、芹沢彰人の日常~
 迷子になったまま帰って来れなくなったのかもしれないと、心配して探したが見つからず、随分経ってから、少し離れた家のおばさんに飼われていることが判明した。

 こちびは細くてカギになった変わった尻尾をしていたので、見かけた友だちが気づいて教えてくれたのだ。

 慌てて行ってみると、ちょうどそのおばさんは道で立ち話をしていた。

 こちびはおくるみに包まれ、大事に抱っこされていた。

 その家で大切にされているのが見ただけでわかった。

 結局、おばさんに話しかけることもせずに家に帰り、花音には、こちびは新しい家の子になったんだから、もう諦めろと言って、自分は、夜、布団でひっそり泣いた。

 ……なんであんな名前をつけたかな。

 縁起の悪い。

 帰ってみたら、他の男に飼われてんじゃないのか、あの猫は。

 小さなこちびだと思って、楽しく遊んでいたら、実は立派な大人の女で、モテる男たちが取り合っていた。

 ……なんか腹たって来たな、もう知らん、と思って、ふて寝していると、花音が戻ってきた。
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