鷹司家の使用人



私が突っ込んでくるのは予想外だったのだろう。



私と目が合った1人の敵は固まって身動きを取れずにいるところを前宙しながら首を掴み、そのまま地面に叩きつける。


それが合図だというように、次から次へと向かってきた敵。


右から1人、私を捕まえようと伸ばしてきた手を逆に掴み、引き寄せたと同時に鳩尾に蹴りを入れる。

それを敵を掴んだまま遠心力に任せて左に投げ飛ばせば、面白いぐらいに数人がバタバタと倒れた。


伊達に毎日、稽古をしてる訳じゃないんだよ。




次から次へと飛んでくる拳を避け、その隙をついて急所に当て、一人一人確実に倒していく。


女だと油断してた輩は私の実力を見て、勝てないと判断したのか力技で戦うのを止め、帯刀廃止だというのに、続々と腰に挿してあった刀を抜き始めた。



刀の許可が出てるってことは、あの人も私を連れ戻すことに躍起になっているのね。

私が他人に傷をつけられるのが嫌な癖に。




流石に最初は軽々しく倒していたが、この人数を1人で、となるとなかなか厳しく、それに加え、相手は刀を持っていて、私は素手。

リーチの差が私の動く範囲をどんどん広げていく。


何とか倒してはいるものの、時間が経てば、倒れていた輩もまた立ち上がってくる始末で私の体力だけが刻々と削がれていった。


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