部長っ!話を聞いてください!
男性の誕生日にどんなものをプレゼントしたら喜ばれるのかと聞いたら、もしかしたら良い答えが返ってくるかもしれない。
歩く速度を緩め、鞄の中へ手を入れ――……首を横に振った。
姉の周りにいるのは、ノリが軽く中身が薄っぺらそうな……チャラい男ども。神崎部長とは真逆のタイプばかりである。
そこを基準にした答えが返ってきそうな気がして、私は慌てて手を引き戻した。
遠くに視線を向けると、二軒先の店先に男性の洋服が並んでいるのが見えた。自然と早足になる。
姉よりも、店員さんにアドバイスをもらいながら、探した方がずっと良いかもしれない。
考えを改めながら、お目当ての店へと足を踏み入れた。
店内を見回していると、ある場所で目がとまった。
その一角へと、吸い寄せられるように歩み寄り、ガラスのショーケースへ身を屈めた。
整然と、カフリンクスが並べ置かれている。
部長もシンプルでカッコいいデザインのカフリンクスを付けていた。
頭の中で、ワイシャツ姿の部長を思い浮かべてから、目の前に並んでいるカフリンクスを一個一個じっくりと見つめていく。
どれが一番部長に似合うだろうか。