部長っ!話を聞いてください!
思わず、息が止まった。
すぐ目の前には、部長の顔。
部長の瞳から目がそらせない。
鼓動がうるさくなっていく。
「……部長っ」
緊張したまま声を発すると、部長が私の唇の前にそっと人差し指をかざした。
「静かに」
部長の指が、唇を掠めた。
微かに触れた感触に、トクリと、鼓動が跳ねあがる。
「分かったか?」
とにかく今は誤解を解きたいのに……話をしたいのに……気が付けば私は、こくりと頷き返していた。
部長は薄く笑みを浮かべ、私の腰から手を離し、そのまま支柱を掴んだ。
顔が熱い。体も熱い。周りの視線が恥ずかしさを膨らませていく。
居心地の悪さを感じながら、ちらりと部長に目を向ける。
ぱちりと目が合い、話しかけようとすると、部長が今度は自分の唇の前に人差し指をかざした。
『静かに』
数秒前にかけられた言葉が頭の中によみがえり、私はいったん口を閉じた。
普段そんなに声が大きい方ではないけれど、確かに部長と話すときは別かもしれない。
緊張と気恥ずかしさでテンションが上がり、微妙に声が高くなるときもある。
周りが迷惑と感じないくらいの“小声”を心がけて話せば、大丈夫かな。