部長っ!話を聞いてください!


「好きな人に嫌われるのは、切ないです」


賑やかなメロディに、私の掠れ声が重なり合う。


「……部長」


部長のことを考えれば、さっきまでの冷たい表情が頭に浮かんでくる。

それも部長だけど、だからと言って昨日までの優しい部長が私の中から消えてしまった訳じゃない。


『土屋が俺にどんなものを選んでくれるんだろうって興味はあるけど』


照れた様子で言ってくれた言葉の有効期限は、まだ切れてないと思いたい。

ソファーの上に鞄と並んで置いてある部長への誕生日プレゼントに目を向ければ、自然とスマホに手が伸びた。


時刻は九時。


あと三時間で今日が、部長の誕生日が終わってしまう。

日付が変わってしまったら、部長の誕生日が終わってしまったら……もうプレゼントを渡すタイミングなどないやって来ないかもしれない。

そう考えた瞬間、ぞくりと背筋が震えた。


「……やっぱり、部長に渡したい!」


このまま持ち帰って、渡せなかった部長へのプレゼントを見るたび、めそめそなんてしたくない。

誕生日が終わってしまう前に、最後にもう一度だけぶつかってみようかな。

浮かんできた前向きな感情に、怒りの感情が凪いでいく。


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