部長っ!話を聞いてください!

カラオケなんて行かなければ良かった。上手く大声が出ない。


「なにしてんだよ。笑える」


ガシリと、私の肩を無骨な手が掴んだ。

手の熱さが気持ち悪い。

無理やり男の方に振り向かされ――……私は彼の後ろに見えた人影に、大きく目を見開いた。


「姉と同じで頭悪いな。空に向かって叫べば、部長とやらが助けに来てくれるのかよ」

「あぁ。場合によっちゃ、助けに来るかもな」


男が驚き振り返ると同時に、部長が男の腕を掴み、私から強引に引き離した。

そのまま腕を捻り上げていく。


「……部長?」


目の前に部長がいることが、そして部長が私のことを助けに来てくれたことが、夢みたいだ。

私は男ともみ合っている部長を見つめながら、しばらくの間呆然としてしまった。






< 63 / 74 >

この作品をシェア

pagetop