部長っ!話を聞いてください!
カラオケなんて行かなければ良かった。上手く大声が出ない。
「なにしてんだよ。笑える」
ガシリと、私の肩を無骨な手が掴んだ。
手の熱さが気持ち悪い。
無理やり男の方に振り向かされ――……私は彼の後ろに見えた人影に、大きく目を見開いた。
「姉と同じで頭悪いな。空に向かって叫べば、部長とやらが助けに来てくれるのかよ」
「あぁ。場合によっちゃ、助けに来るかもな」
男が驚き振り返ると同時に、部長が男の腕を掴み、私から強引に引き離した。
そのまま腕を捻り上げていく。
「……部長?」
目の前に部長がいることが、そして部長が私のことを助けに来てくれたことが、夢みたいだ。
私は男ともみ合っている部長を見つめながら、しばらくの間呆然としてしまった。