部長っ!話を聞いてください!
怒鳴ったけど、時々声が掠れてしまい、私が深刻な状況に陥っているということを上手く伝えることができなかった。
男は、私と私の背後を交互に見ながら、ニヤニヤ笑っている。
近づいてきた男の顔めがけてビニール袋を振り上げると、中に入っている詰め替え用の袋がばちりと音を立てて頬にヒットした。
「いてーな……」
男の声が低くなったことに、ゾクリと背筋が寒くなる。
「出てってください!」
恐いと思ってしまったことを悟られたくなくて、私は再び声を荒げた。
「可愛がってやるって言ってんだよ。どうせお前だって、家に男連れ込んでんだろ? 姉と同じで」
「連れ込んでなんていません!」
にじり寄られ、足が後退していく。
肩越しに後ろをちらりと見て、心が一気に冷えていく。
下がっていけば、ベッドに達してしまう。このままではいけない。
逃げる道を探してみたけれど、玄関へ向かうには男の横をすり抜けていくしか方法が無い。
それだと、きっと捕まってしまう。
私はハッとし、窓へと向かう。急いで窓をあけ、上空に向かって叫んだ。
「部長っ!! 助けてくださいっ!! 部長ーーっ!!」