恋花火*・°
vol.1 こいの季節
「紗枝。」
そう、この声。
低い声で私の名前を呼ぶ……
「おい、紗枝。」
「う…ん………」
愛しい人の……声。
「紗枝!てめー!いい加減起きろコラ!」
「ひやあああああああ!」
ドダダダダダンッ───。
何?!何が起こったの?!
ふと気づくと私はベットから落ちている。
腰を強く打ったみたいだ。
「いてててててて…。」
「…やっと起きたか、早く支度しろ。」
私の前に仁王立ちしている兄。
─と、いうより双子の兄。
「結城(ユウキ)~…、もっと他に起こし方ないの?」
私は寝癖でひどい頭を直しつつ言う。
「お前が勝手にベットから落ちたんだろ?」
「結城が大声出すからでしょ?」
「はぁ?毎日毎日毎日毎日…なんで俺がお前を起こさなきゃいけねぇんだよ!」
バッタン──…。
結城は強くドアを閉めて出でいってしまった。
…またやっちゃったよ。