黄金の覇王と奪われし花嫁
ユアンの問いかけにバラクは少し考えて、ゆっくりと首を振った。

「違うな。 そうやって、色々自分に言い訳を考えただけだ」

「どういう意味?」

バラクはユアンをきつく抱き寄せ、ユアンから自分の顔が見えないようにした。


「ただ単純に目の届くところに置いておきたかっただけだ。 ナジムの妻ならば、俺とそう離れることはないからな」

バラクの言葉はますます意味がわからなかった。けれど今、ユアンの顔はバラクの胸に埋もれていて喋ることもできない。

「お前が思ってる以上に、俺はお前を気に入っていたってことだ。
だからな、ユアン。 お前は幸せになれ。
ナジムはそう悪いやつじゃない」


バラクは自分の言いたい事だけ言い終えると、あっさりと寝息を立て始めた。

ユアンは無邪気に寝顔を見せる男に小さく呟いた。

「・・やっぱり嫌いよ、バラクなんて」

どうして今さらユアンの心を掻き乱すようなことを言うのだろうか。

やっとついた決心が鈍るじゃないか。


ナジムが悪いやつだろうが、そうじゃなかろうが、関係ない。

ユアンの心にいるのはーー


たった一人だけなのに。
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