黄金の覇王と奪われし花嫁
「外側と中身が全然違う・・・って、ナジム様に少し似てますよねぇ」

トゥイはのんびりした口調でそんな事を言う。 しばし考えてはみたが、トゥイの真意を測りかねたナジムは素直に聞いてみることにした。

「ーーどういう意味です?」

「そのまんまの意味ですよ。外側だけを見ても、本心がわからない人だなってことです」

ナジムは真顔のまま黙りこくっている。
トゥイはクスリと笑って続けた。

「心配しなくても、ユアン様はとっても鈍いですから。ナジム様の中身は見えていないと思いますよ」


「・・・」

ナジムはジロリとトゥイを睨みつけると、大きく息を吐いた。


「ユアンは俺に嫌われていると思っていたようですが・・・どちらかと言うと、俺は貴女の方が苦手ですね」

ナジムは自嘲気味に笑って、言った。

「あら、正直に嫌いだと言ってくれて構わないのに」


「・・・嫌いですよ。今日の天気を語るかのように穏やかな顔と声で脅しをかけてくる女なんて」

ユアンを助けないならバラクを殺すと脅された時のトゥイの微笑みを思い出すと、今でも背筋が凍る。

自分なんかよりよほど本心を見せない女に向かって、ナジムはぼやいた。見かけと中身が違うという点については、トゥイにだけは言われたくなかった。
このしとやかそうな笑顔の奥に、あんな強さを秘めているなんて誰が思うだろうか。

「あ。今、少しだけ中身を見せてくれましたね。
例えナジム様に嫌われてても、私はナジム様が好きですよ」

「・・・は!?」

「もちろん一番はユアン様ですけど!」

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