イレカワリ～番外編～
☆☆☆

今日1日最低な日だった。


授業を聞いても全く身に入らず、女子生徒たちがここねの悪口を言う度に吐き気に襲われた。


どうにか放課後まで我慢した俺は沙耶に会うために自転車を走らせていた。


今日も海が病院へ行っているかもしれないから少しだけ時間をズラして学校を出て、途中ファミレスに寄って食べたくもないパンケーキを食べた。


1時間ほどしてファミレスを出た俺は再び自転車を走らせた。


太陽が傾く時間が徐々に短くなってきている。


これからは病院に行ってから帰っていると外は真っ暗になってしまうだろう。


そう思いながら、自転車を止めた。


海の自転車は見当たらない。


海と会話はしたいけれど、病院で鉢合わせるわけにはいかなかったので、ホッと胸をなで下ろして院内へと入って行った。


受付の女性が「あら？」と不思議そうな顔を浮かべて俺を見た。


この人は俺が病院に来ると必ず声をかけてくれる。


「こんにちは」


俺は軽く会釈をしてその場を通り過ぎた。
< 101 / 117 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop