イレカワリ~番外編~
約束
病室を開けるとカーテンが開いていて、眩しくて一瞬沙耶の姿が見えなかった。


「また何か買って来たの?」


呆れたような沙耶の声にホッと胸をなで下ろす。


光に隠れていた沙耶は今日も元気そうだ。


俺は薄いカーテンを閉めて、沙耶の隣に座った。


上田沙耶(ウエダ サヤ)俺と歩の幼馴染で、同級生だ。


12歳になった沙耶は去年よりももっと細くなっていて、少しつついただけで骨が折れてしまいそうな印象だ。


それでも沙耶が笑うとその頬にエクボが見えて、前から変わらないんだと感じる事ができた。


「今日は雑誌をお菓子を買って来た」


そう言い、自分のジュースだけ取り出して手に持ち、沙耶の膝の上に買い物袋を置いた。


「そんなに毎日買ってこなくていいっていってるのに。お小遣いがなくなっちゃうよ?」


沙耶は俺を少し睨んでそう言った。


「大丈夫だって。歩なんてひと月に2本も3本もゲームソフト買ってるんだぜ」


今もまだゲームをしているであろう、歩を思い出してそう言った。


「沢山お小遣いがあって羨ましいよ」


沙耶がそう言い、笑った。


本当は貯めたお年玉を使っているんだけど、俺はニコッとほほ笑み返した。


これだけの事で沙耶が笑顔になるのなら、俺は自分のお小遣いなんていくらでも出していいと思えた。
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