数センチ先の残り香
プロローグ
「…んっ…ああー…。」
朝、公園から聴こえるラジオ体操の音と
子供たちの笑い声を聞き
目が覚めてしまった。
まだ朝の7時。
君が起こしに来る前に
二度寝しy―――――
バタン!とドアが開き、
「凉!もう7時だよー!!
起きて!!学校遅刻しちゃう!
…起きないと凉のシューズ
私が履いちゃうよ?」
「あ゛あ~!もう!
起きます起きます起きました!!」
「よろしい!」
そして君はにっこりと微笑み、
下の階へ降りていく。

毎日一緒に朝御飯を食べ、
君が作った同じ弁当を持っていく。
一緒に登下校し、
手が繋げる数センチの距離に身悶えながら
毎日を過ごすのだ。

…だが僕は
彼女と付き合っているわけではない。
彼女からしたら僕は、
友達の中でも一等親しい異性の友達、
という関係性だと思っているようだ。
もし、異性として
意識してもらえているのなら…なんて
考えるのは贅沢なのだろう。

毎日のように誰かに
話すわけでもない台本を考えながら
僕の毎朝は始まる。
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