病弱少女の杞憂
「あぁ、早いよな。…ついこの間、中学卒業したのにな。」


橘くんがわたしと同じことを考えるなんてびっくりした。


「う、うん…。」


「さっきは?あいつら見てた。」


橘くんが運動場でサッカーをしている彼らをさしていった。


見てたんだ。


いつからいたんだろう。


「…ただ…サッカー…いいなって…思ったの。」


なんとなく橘くんの顔が見られなくて、体操座りして下を向いた。


「…俺は…千歌の気持ち、わかんねぇけど…俺、医者になるから…俺がすげぇ薬つくって、千歌を元気にする。」


「…橘くん…っ。」


驚いて、彼を見ると恥ずかしそうに前髪をくしゃっとしていた。


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