病弱少女の杞憂
「俺さ、千歌に昔、助けられたんだよね。」


「え?」


「ほら、覚えてない?中3の時、保健室で…。」


「…覚えてるよ。…でも、助けられたのはわたしの方だったよ…?」


中1の今日と同じ頃、わたしは倒れて保健室にいた。


先生がちょうどいなくて、わたしは一人だった。


その時に、橘くんがきた。


「いや、俺の方だよ。俺、サボりにきたじゃん?それで、暇だったからきつそうな千歌の面倒見たんだけど…」


「うん…あの時は本当にありがとう…。」


あの時は本当にきつかったから、すごく助かった。


「いえいえ。」


橘くんはあの頃を懐かしむように優しい笑みを浮かべていた。


わたしは橘くんのそういう顔が一番好き。

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