空は透き通るぐらい哀しく蒼くて
夏山陽光(なつやまひかり)。

この名前が嫌い。

名字に私が嫌いな夏が入ってる。

でも理由はそれだけじゃない。

陽光。

太陽のような暖かい光の元に生まれた子。

だから陽光。

でも、私は太陽の暖かさを知らない。

光の眩しさを知らない。

今までもこれからもずっと知らないまま、ただ暗闇を生きていかなきゃいけない。

太陽の光を浴びてはいけない病気。

どうしても歩かなくちゃ行けないのなら防護服を着なくちゃいけない。

それでも10分まで。

それが私のタイムリミット。

暑苦しい服を着て公園に遊びになんて行けないし、学校にも通うことは困難だった。

だから。

特別に自宅学習という形で勉強している。

それでもやっぱりまだ子供で。

外に出て思いっきり遊びたかった。

友達と遊びたかった。

色んなところに行きたかった。

学校行事に参加したかった。

願わぬ願い。

それは分かってる。

だから夏は嫌い。

唯一遊びに行ける夜が短くなる。

日が長くなるから。

いつだって夏は私を苦しめていた。
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