小悪魔な彼にこっそり狙われています



「桐生社長……トイレに行くと言っていた人がどうしてここで油を売っているんですか」

「あ、あはは!息抜き息抜き!さー、仕事戻ろーっと」



秘書にしっかりと手綱を握られているらしい。社長は慌ててフォローをしながら彼女を連れてオフィスをあとにした。



イケメン御曹司も厳しい秘書には勝てない、か……。

ていうか相変わらず距離の近い人だなぁ。あれはモテるわけだ。



そんな呆れた気持ちになるものの、触れられてもなんとも感じないその手に、やっぱり意識するのは来栖くんだけだと思い知る。



来栖くんだと、ドキッてしちゃうんだよなぁ……。

って、なに考えているんだか!これじゃあまるで、私……。



「……どうです?井上さん」

「へ!?うん!?」



って、はっ!聞いてなかった!



考えるほうに気持ちが向いてしまっており、全く話を聞いていなかったものの、なにかを問いかける来栖くんについ頷いてしまう。

そんな私の答えに、彼はいたって自然と頷く。



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