小悪魔な彼にこっそり狙われています



「珍しいじゃん、井上さんと飯なんて。仲いいんだ?」

「えぇ、まぁ」



答えを曖昧にぼかすと、来栖くんは相変わらずマイペースな調子で、彼の顔もまともに見ずオムライスを口へ運んだ。



「ふーん……あ、もしかして来栖お前」



も、もしかして!?

私たちの関係を探るようにニヤリと笑う男性社員に、ぎく、と嫌な予感を感じる。



「井上さんにおごらされてるな〜?可哀想な後輩め!」

「って、誰が後輩にたかるか!」



が、彼から言われたのは色気のない内容で、からかうようなひと言に、思わずすぐさまツッコミを入れた。



「あはは、冗談ですよ。ごゆっくり〜」



けらけらと笑いながら去っていく彼に、「もう」と呆れながら私もフォークを手にする。



……って、こんな流れ前にもあったなぁ。相変わらず、男女ふたりでいても誤解のひとつもされないなんて。

変な噂が立たなくて安心だと思うべきか、ここまで女として見られないことを嘆くべきか。

複雑な気持ちでフォークにパスタを絡めて口に運んだ。




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