小悪魔な彼にこっそり狙われています
「来栖くん、ごはんそれだけで足りるの?」
周囲の席の男性たちは、オムライスにパスタのセットなど、ボリュームの多いメニューを食べていることからそう問いかけると、彼は首を縦に振る。
「元々あんまり量食べないんで……あ、でもこの前井上さんが作り置きしてくれた料理は完食しました」
「えっ、本当?口にあった?」
「美味かったですよ。なんなら毎日作りに来てほしいです。いっそ結婚しませんか」
真顔でプロポーズのようなことを言う彼に、口をつけたアイスティーをふきだしそうになってしまう。
……またそういうことをさらっと口にして。
真に受けてはいけないと思いつつも照れを隠しきれずジロ、と睨むと、その視線を気にすることなく彼はスプーンでオムライスをすくった。
「あれ、来栖?」
するとその時、来栖くんを呼ぶ声に顔をあげるとそこには秘書課の男性社員がいた。
お昼を終えたところなのだろう、からになった食器をトレーに乗せて持つ彼は、珍しいものを見るような目でこちらを見る。