小悪魔な彼にこっそり狙われています
「……誰かに想ってもらえるような、そんな女じゃない」
小さく呟くと、フォークをそっと置いた。
目の前の彼の反応を見るのが怖くて、汗をかくように水滴をにじませるグラスを見つめていると、視界の端では普通に食事をするように影が動く。
「別に、俺が思ってる通りじゃなくてもそれが井上さんなら、それでいいですよ」
「え……?」
その言葉に顔を上げると、目の前の来栖くんは相変わらず口をもぐもぐと動かし、オムライスを食べ続けている。
「そりゃあ、好きな人のことだから多少なりとも美化して想像してたり、贔屓目で見てるところもあると思います。だからこそ、きつく言われても許せたり、寧ろそこがかわいく思えたりもして」
「か、かわいく……?」
予想外のその答えに目を丸くする私に、彼はスプーンを置いてアイスコーヒーに口をつける。