小悪魔な彼にこっそり狙われています



「井上さんは周りに厳しく言う分、周りが言えないくらい自分にも厳しいですよね」

「え?そう、かな」

「少なくとも俺にはそう見えてます。いつもあれこれ動いて、人の倍仕事こなして、休日だってこの前の買い出しみたいな雑務もして」



確かに、上に立つのなら自分自身に穴があってはいけないと、気を引き締めてはいるけれど……それを知られていたなんて。

どこまでも自分をよく見ている人だと改めて感じる。



「社長に俺も一緒に買い出し行った話したら、あの人驚いてましたよ。『彼女も誰かに頼ることってあるんだね』って」



……あれは、頼るというか、デートの口実だっただけなのだけれど。

けどまぁ、確かに。他に口実ならいくらでも作れたし、いつもならひとりでこなす買い出しも、来栖くん相手だから頼みやすかったこともある。

そう考えれば、『来栖くんだから』と納得できてしまう。


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