小悪魔な彼にこっそり狙われています
「……そんなところ見られてたなんて、かっこ悪い」
誤魔化すように「あはは」と笑ってみせるけれど、来栖くんは真剣な顔で首を横に振る。
「かっこ悪くなんてないですよ。その姿を見た瞬間が、俺が井上さんに惚れたきっかけですから」
「きっかけ……?」
「本能が、『この人のこともっと知りたい』って、『近づきたい、触れたい』って思って。……その日から時間を経て、気づいたら好きになってました」
もっと知りたい
近づきたい、触れたい
自分の涙にそう想ってくれる人がいることが、嬉しくてくすぐったい。
いつだって、まっすぐに伝えてくれる想い。
それは今この瞬間も変わらずに、目と目を合わせて、言葉に表して。この胸に愛しさを感じさせる。
「いくら疑われてもいいです。信じてもらえなくても、それでも気持ちは変わりません。井上さんのことが、好きです」
『好き』、その言葉を甘く囁くと、来栖くんは顔を近づけて唇を重ねた。
何度触れても胸を揺らす彼の唇は、柔らかく吸い付き、舐めるように舌を絡ませる。
彼の長い指が手から離れ、代わりに体を抱き寄せる。その逞しい体に包まれ、委ねるように肩の力を抜いた。