憂鬱な午後にはラブロマンスを

洋介の姿が見えなくなると女子社員は目をハートにさせ大喜び。

イケメン部長が上司だなんて毎日が楽園だと。


「新部長って奥さんいるわよ。」


郁美の一言で皆がシーンとしてしまう。

若くして部長になる程のやり手でしかもイケメンなのだから女がいても不思議ではない。

それが結婚した妻がいても当然だと女子社員はみんな頷いていた。


「そうよね、あれだけの優良物件を女が放っておくもんですか。」

「残念だわ!」

「そう言えば、左手の指輪ってあまり綺麗に輝いていなかったわね。」

「という事は結婚して長いの? う~ん、離婚狙っても無駄なのかな?」


女子社員達の好き勝手な話しで盛り上がっていたが、珠子はそんな会話を横目で見ながらパソコン作業を続けていた。

居酒屋で居合わせた時は、洋介は自分が妻帯者だとハッキリ言っていた。

そして、あの席は妻との待ち合わせだと話していた。

皆が見た指輪は新しいものではない。

そんな事を考えると、珠子と離婚して直ぐに再婚したのだと思えた。

もしかしたら、あの時洋介が浮気していた女と再婚したのではないかと珠子は胸が苦しくなった。


自分から離婚を要求した。だから、別れた夫が誰と付き合おうが再婚しようが関係ない。

なのに、どうしてだろうか、珠子は洋介の再婚話を聞きたくなかった。
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