甘酸っぱい恋
運命の席替え
 君に惹かれるなんて思わなかった。ただの仲の良い友達だろう、って。でもね。恋心に気づいたときには遅くて、引き戻せないくらい君のこと好きになってたんだ。

 中学2年生の文化祭シーズン。あたしも含めて皆そわそわしてた。そんなときに、担任の先生が席替えをします、と言った。あたしは、後ろの席がいいなってただ祈ってた。友達は誰の隣がいいとか騒いでたけど、あたしはどうでもよかった。

 くじ引きを順番に引いていく。黒板に書かれた番号と席を照らし合わせていく。あたしの番号は、一番前の席だった。ツイてない。素直にそう思った。あとは隣の男子次第。ひょこっと大きい男子がこっちに向かってきた。隣の人だ、とすぐにわかった。

 よろしくね、と低くて優しい声。見た目はプーさんみたいな感じ。この人が隣なら大丈夫かも、という変な安心感があった。

 この席替えがすべての始まりだった。
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