キミと初恋、はじめます。
「先生、それであの……なにか?」
「そうそう、華沢さんに伝えておきたいと思った事があって」
「伝えておきたいこと?」
……なんだろう?
あたしは首を傾げ、翔空と視線を合わせた。
「華沢さんは転校してきたばかりだけど、来週定期テストがあるのよ」
テスト……って期末テストか。
「それが……どうかしました?」
「この学校の転入試験に合格出来るくらいだから、大丈夫だとは思うんだけれど。やっぱり少し、皆より遅れがあるじゃない?」
うーん、どうだろう。
こんな時のためにと、中学の頃から高校の全範囲の予習は済ませてある。
とはいえここは偏差値の高い進学校だし、不安がないといえば嘘になるなぁ……。
「大丈夫?ここ、赤点とると補講なんだよ。1週間、毎日」
「ありゃキツい…もう憂鬱でしかないよな」
なっちゃんと渋谷くんが嫌そうな顔で、顔を見合わせた。