キミと初恋、はじめます。
「──……材料代とかもあるし、なるべく量産出来るものがいいんだけど、なかなか難しいんだよな」
頭をかいて溜息をついた野村くんに、あたしはうーんと考える。
喫茶店として満足出来るもの。
かつ、材料費を浮かす事が出来て量産可能なものが思いつかないらしい。
確かに喫茶店と言っておいて、コーヒーとクッキー1枚じゃ物足りないにも程があるもんね。
そうこう考えている内に、家庭科室へついたあたしの目に映ったのは、料理係の女子達がやる気を失くして机に突っ伏している様子だった。
「……な?もうみんな、考えるのが嫌になっちゃって、あんな状態なんだよ」
野村くん、残り1週間しかないよ!
そんな冷静に肩を竦めないで!!
「みんな、華沢連れてきたぞ」
野村くんの声に、突っ伏していた女子達が溜息をつきながら体をおこす。
……なにか決まれば動く気になるのだろうけど。
あたしはそんな彼女達に近付いて、とりあえず尋ねてみる。